2020年10月18日日曜日

高価なオリーブオイルと安価なオリーブオイル

 「高価な(エクストラバージン・)オリーブオイルと、安価なオリーブオイルとの違いは何ですか?」と聞かれることがあります。それは、本質的には、本物のエクストラバージン・オリーブオイルか、そうでないかによりますが、基本的には、消費者の手元に届くまでのコスト(原価)の積み上げになります。

「本物のエクストラバージン・オリーブオイルというと、ならば偽物があるの?」という質問をいただくこともあるのですが、それはご自身で検索で調べていただくか、書物などにも詳しく書かれていますので、そちらに譲ります。

また、基本的に、というのは、価格を意図的に高く、もしくは安くしていることもあり、品質とは無関係の場合もありますので、注意が必要となります。

それでは、コストにかかわる部分として、例えば、以下のようなことがあります。

・その年の収穫量(様々な関係者の努力により、価格に影響しない場合もあります)

・小規模か大規模か(農場の規模や生産量の規模、生産性)

・品種の希少性

・収穫後のオイルに加工するまでの時間(エクストラバージン・オリーブオイルでは、12時間程度以内、理想は3~4時間以内です。最速では数十分から2時間以内というオリーブオイルもあります)

・手間がかかる栽培方法や管理方法

・土地(物価)や人件費(例えば、チリ産のオリーブオイルは高品質ですが、土地代や人件費や低いため、安価に手に入れることもできます)

・知名度(有名な産地や人気度)

・有機認証を取得しているか否か

・空輸なのか船便なのか(船便でも、温度管理されたリーファーコンテナを利用すれば費用はその分かかります)

高価なエクストラバージン・オリーブオイルは、安価なオリーブオイルと比較すると、高品質である可能性が高くなることと、やはり、栽培時から製品化され商品となって私たちの手に届くまでに、きちんとした管理が行われています。

それでは、高価なエクストラバージン・オリーブオイルがいいのかというと、そうともいえない側面もあります。例えば、日本での価格が 500ml で 5千円を超えるような高級エクストラバージン・オリーブオイルでも、苦くて、辛くて、食べられないという方が実際にいます。

一般的に、鮮度が高かったり、早摘みであったり、ポリフェノール量が多いエクストラバージン・オリーブオイルになると、風味の刺激が強くなる傾向にあります。そのような方にとっては、高価なオリーブオイルといえども不必要なわけで、無理して食べると、精神面にもよくないと思うのです。そのような方には、ミディアムフルーティーやライトなオリーブオイルをお勧めしています。(ミディアムフルーティーやライトなオリーブオイルが安価というわけでもありませんが)

なお、オリーブオイルの色は、摘んだ時期や品種によるところが大きく、価格の高い低いには関係ありません。濾過か無濾過かも関係ありません。香りがプンプンするものがあれば、香りがおとなしいものもありますが、これも関係ありません。すごく苦いものがあるかと思えば、マイルドなものもあります。早摘みであれば刺激が強くなる傾向がありますし、熟してから摘んだものはマイルドになる傾向になります。いろいろと難しいですね。

ひとつだけ、外してほしくないことがあります。それは、喉にピリピリと刺激のあるエクストラバージン・オリーブオイルを選んでほしいことです。

世界基準の、本物のエクストラバージン・オリーブオイルであれば、という条件はつきますが、その中からであれば、高価なオイルであろうと安価なオイルであろうと(激安ということはまずありません)、風味のお好きなものを使用されれば良いと思います。

オリーブオイルには、実に様々な種類があり、それぞれに風味が異なりますので、料理によって使い分けることも、オリーブオイルの楽しみ方のひとつです。是非、いろいろなエクストラバージン・オリーブオイルをお試しになってみてください!