2020年10月27日火曜日

エレガントなフランス産のオリーブオイル

以前に「オリーブオイルの酸度について」の記事の中で、以下のことを書きました。

”オリーブオイルの新鮮さは、オリーブの摘み取り後、どれだけ早く搾油するかで、ほぼ決まります。(フランス産など、一部例外はあります。摘んだオリーブをコントロール下で数日間寝かせてから搾る製法もあります)”

今回は、一部例外となる、このフランス産のオリーブオイルについて紹介します。

今や、どこの国のオリーブオイルも、オリーブの収穫後、できるだけ早く圧搾することが大前提となっていますが、フランスでは一風変わっていて、新鮮なまま搾るものと、熟成させてから搾るものとがあります。

まず、新鮮なまま搾る「フリュイテ・ヴェール(Fruite vert)」があります。これは、収穫後はなるべく早く圧搾をする、通常のオリーブオイルの製造方法と同じです。

そして、今回の話題となる「フリュイテ・ノワール(Fruite noir)」があります。

こちらは「熟成」を意味しており、収穫・選別・洗浄した後は、厳格な温度管理のもと、数日間、キュベの中で貯蔵・発酵させてから圧搾します。デカンテーション(沈殿物と液体を分離する操作のこと)やフィルター処理もキュベの中で行われ、品質には最大限の注意が払われます。

オリーブの貯蔵期間は、メーカーによって異なりますが、早いところで2日、長いところでは5日というところもあります。

キュベ(Cuvee)とは、フランス語で「発酵槽」のことです。TVなどで、ワインを発酵させるためのタンクや、樽が積み重ねられている光景をみることがあると思います。その中でオリーブを発酵させているのです。これは驚きですね!

フランスでのオリーブの収穫は、年を越した1月からのやや遅めの時期で、オリーブは完熟となっています。既に、ポリフェノールなどの抗酸化成分が少なくなり、苦味や辛味も少なくなっています。そのオリーブをさらに熟成させるために貯蔵しますので、その間にも、ポリフェノールは減少していきます。

ですが、それと引き換えに、とてもマイルドというのか、苦味や辛味はほとんど感じられないオイルになっています。完熟オリーブの風味がフワッ~と広がり、濃厚で、甘みのある余韻も楽しむことができます。

当店では、フランス産「フリュイテ・ノワール(Fruite noir)」オリーブオイルの取扱いがあります。

オリーブオイルにあまり馴染みのない方や、通常のオリーブオイルの独特な風味が苦手な方でも「これならいける!」というお声をいただきます。もちろん、苦くて辛くて、スパイシーでストロ~ングなオイルがお好きな方にも、フリュイテ・ノワールはきっと満足いただけるものと思います。"タイプの異なる美味しさ" です。

私にとっては、フリュイテ・ノワールで、新たなオリーブオイルの世界が拓けました。是非一度お試しください!